お嬢様、家出しちゃいます!
そんな如月のことなど全く知らない我らがリリアお嬢様はというと、未だ行き先も分からずに男に引っ付いていた。
(そろそろ何かしら教えて頂けないのかしら…)
いくら天然おっとりお嬢様でも気になってきたらしい。
いくら待っていても目的地までは何も話しかけてきそうもなさそうだ。
「あ、あのぉぅ…」
聞こえるか聞こえないかの瀬戸際なボリュームしか出なかった。
しばらく様子をうかがったが、どうやら聞こえていなかったらしい。
男は相変わらずすたすたと前を歩いて行く。
「…あのっ!!」
そう言った途端男の肩がビクッと跳ねた。
自分自身でも予想外のボリュームだったため、少々びくつきながらもリリアは言葉を紡いでいった。
「先程から随分と歩いていますが、一体どこへ「もうすぐ」」
最後まで言い終わることなく会話は終了した。