お嬢様、家出しちゃいます!



目的地は本当はどうでもよかった。


そりゃ、名前だって、自分を助けた理由だって聞きたかった。


でも、それ以上に何よりもお礼を言いたかった。


本当なら助けられた直後が一番ベストタイミングだったのだろうが、直後にあんな事をされてしまえば言いたいことも言えるわけがない。


リリアは聞こえないようにそっとため息をついた。


(助けて頂いた時とはまるで別人のようだわ。あの時は本当に王子様だと思いましたのに…)


考えれば考える程、お礼を言えなかった後悔と男の態度への不信感とでリリアの頭は下がっていく一方だった。





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