お嬢様、家出しちゃいます!
「おぉ僕の天使ちゃん、こんな夜中にどうしたんだい?」
愛娘の登場に頬が緩む浩太朗。
とても、大企業のやり手社長には見えない。
「もぅ、その呼び方やめてくださらない?もうあたくし、高校2年生ですのよ?」
年頃のリリアは、ケダモノでも見るような眼差しを向けた。
「お嬢様、そのような振る舞いではお許しはいただけませんよ?」
如月はリリアにしか聞こえないように呟いた。
「あ!!如月、お前今何か言っただろ?!」
「っお、お父様!!それより、あたくしのお話を聞いてくださらない?」
このままだと、面倒臭いことになる。
リリアは直感でそう思い、声を張り上げた。
「あぁ、そうだね。すまないすまない。で、話とは?」
リリアは高鳴る胸に手を当て、まっすぐに浩太郎を見つめた。
「あたくし、家出がしたいの。お許しをいただけません?」
ピキッ
案の定、浩太郎はショックのあまり石化してしまった。