落ちない日常
ちょうど入ってきた男の人を見たとたん、
あからさまに冴島さんの顔が曇った。
「関守・・」
「久しぶりだってのに、なにその嫌そうな顔」
「してねぇよ、じゃあな」
「ちょっと、待った!」
そのまま私の腕を引いて鑑識課をでようとすると、
後ろについていた私の反対の腕を掴まれた。
「誰、この子」
「・・俺の班の部下」
「へぇー、綺麗な顔してるね」
顔を撫でられ、びくりと肩をあげる。
「触るなよ」
目を丸くしていると触ってくる手を冴島さんが叩いてくれた。
「あ、もしかして冴島さんの彼女?」
「ちっげぇよ!」
「ならいいじゃん、」
「だ、ダメだって!俺で我慢しろ!」
・・・?
今の発言おかしくないですか、
首を傾げる間もなく、
関守と呼ばれたその人の手が冴島さんに伸びて。
キスした。
「僕は冴島さんも好きだけど、どっちかっていうと伊東くん派なんだよね」
「・・・伊東なら今度連れてくるよ」
声のトーンが下がった冴島さんと、
上がった関守さん。
「じゃあな!」
もう一度冴島さんに腕を引かれて鑑識課を後にした。