落ちない日常
見つめていたのに気がついたのか、
モデルじゃないかってくらい綺麗な西さんは
冴島さんを親指で指しながら自己紹介してくれた。
「にしても、可愛いわね、貴方」
「あ、私は三浦雛っていいます」
「俺の部下だよ、まだ認めてねーけど」
ふいとそっぽを向いて冴島さんは奥のほうへ行ってしまった。
ついていこうとすると、西さんに手を取られる、
「雛ちゃんね、私のことは橙子ちゃんでいいから」
「え、でも私こうは」
「橙子ちゃんでいいわよ」
笑顔なのに、目は笑ってない。
もう私は頷くしかなかった。
「と、橙子ちゃん」
「んー、いい子ねー」
よしよし、と頭を撫でられていると
冴島さんが戻ってきて橙子ちゃんに話しかける。
「関守は?」
「さぁ、婦人警官さんとお茶じゃないかしら」
そうか、と冴島さんは私の腕を掴んで入り口まで戻る、が
「あ、冴島さん」