びとれいある





「違うんだよ。バカスミが…じゃなくて香澄が!」



「一瞬バカスミって言おうとした?」



「してないしてない」



顔の前で手を大きく振った。




「もう少しで終わるから静かにしてるんだよ?」



「うん……」



先生はそう言うと自分の椅子に戻って行った。



校歌も終わり、長かった始業式も終わった。




体育館から教室に帰る途中。


「あんたさっき私のせいにしようとしたでしょ?!」




「だからしてないしてない」





早歩きで教室に戻ろうとした大地を後ろから思いっきり突き飛ばしてやった。





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