Like the sky
手際よく自販機に小銭を入れて、もちろん記憶しているデスク愛用の銘柄のボタンを押す。
「よしっ!」
取り出し口に落ちてきたタバコを手に取り、ついでにジュースでも買っておこうかなぁ?
なんて思って
今度は、ジュースの自販機に近づこうとした
その時―
なんだか、見覚えのあるシルエットが
あたしの目の前を通り過ぎて行った―…。
そのシルエットに。
忘れかけてた、1週間前の記憶が蘇る―…。
確かに嗅いだ事のある、タバコと香水の混じった香りが
シルエットが通り過ぎた通路を漂うと。
曖昧な記憶を、それが鮮明にさせた。
でもシルエットは
あたしに気づかなかった―…。
けど、それは当然の事。
あの日が、特別だっただけ。
いちディレクターの、あたしと
芸能人である、彼にとっての
これが、本当の距離なんだから。
*