君桜
✿Heart
「…ん…」
気が付いたら窓の外はもう、日が傾いていた。
寒い。
外は暑そうなのに、なんだか寒い。
物音ひとつしない、家。
…学さんはまだ、帰ってきていなのかな。
何か、温かいもの、ほしい。
…学さんの温もりが、ほしいよ…。
学さん、どこにいるの?
あたしを置いて、どこに行ったの…?
そんなことを思いながら、部屋を徘徊。
うん、やっぱり…まだ帰ってきてないんだね…。
冷蔵庫を開けて、ポカリを出す。
学さんが病院帰り買ってくれたみたい。
ふたを開けて、リビングのソファに座る。
こんなに寂しかったっけ?
一人で座るソファってこんなに大きかったっけ?
…もう、ヤだよ…。
学さん、早く…帰ってきて………
手からペットボトルが、すり落ちる。
「葉奈…」
学さんの声が耳から入ってきた。
…学さん、帰ってきたんだ……。
よかったぁ…。
安心して、再び眠りについた。