君桜
何も聞こえなくなった、家。
静まり返った、家。
不気味なほどに、静寂。
さすがに、胸騒ぎがした。
可笑しい。
なにかがおかしい。
この家がこんなに静かになることはない。
何かがあったんだ。
きっと。
そう思い、ベッドから顔を出していると…
「う、わぁぁぁぁぁあああ!!」
父親の悲鳴が、聞こえた。
「…な、に…!?」
驚いて、声が聞こえた1階のほうへと足を進める。
この家に唯一の1つの和室に父親が尻もちをついて、上を見上げていた。
…魂の入っていない、目で。
あたしも、その目線を追う。
「…い、イヤアアァァァァァアアアアア!!!!」
あたしの悲鳴も、こだました。