君桜



「何か口に入れろ。治るもんも治んなくなるぞ」


「…そうかもしれないけど…」


「しれないけど、じゃなくて」


こればかりは譲れねぇぞ。


俺はじっと葉奈を見る。


葉奈は何かを感じ取ったみたいに苦笑い。


笑ってごまかしてんじゃねーぞ。


そういう意味も込めて頭を軽くコツンとづつく。


「…だってぇ~…」


「……ハァ」


コレはなんとしても食わないつもりだな。


「お腹、すいてないんだもん。……食べたら、吐きそう」


苦笑いで俺に言った。


「…でもなぁ」


「…わ、わかってる…けど…」


そう言って俺から逃げようとする。


だーかーらー…逃げんじゃねぇよ…。


言っとくけどな、それ、結構地味に傷ついてんだぞ。


「わ、分かった…。食べる。食べるぅ~……」


渋々納得し、俺はコンビニに行った。


葉奈を一人にしておくのは不安だったけど、葉奈が頑なに大丈夫と言い張ったため、置いてきてしまった…。


家を一歩出ただけなのに、とても心配になる。


一応、俺が電話したら必ず出るように言ってきたけど…葉奈のことだ。


忘れて寝たりするに違いねぇ…。


まぁ、そん時はそん時で…。



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