君桜
✿Jealousy
――学SIDE――
「学じゃない?久しぶり!元気だった?」
馴れ馴れしく俺の肩をポンっと叩く。
「…あ、ああ…」
「あれー?なぁに。その反応!つれないなァ。もしかしてあたしのこと忘れたの――?」
言いながら赤いハイヒールをカツカツと鳴らす。
…うるせぇな。
ケバケバした化粧に、テカテカの唇。
指の先にはド派手なネイル。
…気持ち悪い。
前まではこういう奴と付き合ってたのか、俺。
「…ホントに久しぶり。ちょっとお茶しない?」
…そう来るか。
「イヤ、遠慮する」
そういうと茜の顔が強張った。
顔に出るタイプだったのか。
「…え?どうして?イイじゃない!ヒマでしょう?」
ヒマじゃねぇんだよ。
早く、家に帰りたい―――…。
茜に背を向けて、レジで会計を済ます。
茜の視線が痛い。
「少しだけでも話しない?」
レジ袋を受け取った俺に甘ったるい声で耳元で誘ってくる。
…ウザいなァ。