君桜
「着いたぞ、葉奈」
「…ん…」
ヤバ、寝ちゃってた。
うつらうつらの意識を無理矢理引き起こす。
学さんの運転する車ってちょうどいい具合に揺られて眠くなるんだもん。
それに熱って事も加戦しちゃってもう勝ち目ないんだもん。
車から降りるとちょっと足元がふらついたけれどうん、もう熱は下がったかな。
学さんと一緒にエレベーターに乗る。
部屋の前まで言って玄関にカギを差し込む学さん――
「…あれ?」
そのまま固まった。
「学さんどうしたの?」
「……」
学さん?
な、なんか…殺気立ってます…
てか、どうして動かないわけ…
「……学、さん?」
ツンツンと裾を引っ張ってみる。