君桜



玄関の外で立ち尽くすあたしの耳に聞こえてくるのは、聞いていいのか分からない内容。


どうしてこの部屋に学さんとあたし以外の人がいるのか。


「……」


とりあえずなかには入れない…。


学さんが出てくるまで待つしかないんだけど…。




「いい加減にしろ…っ!!」




今まで学さんの聞いたことのない声。


あたしには見せたことのない、表情…。


きっと中にいる人は学さんの昔の―――?


あたしが知らない学さんのことを知っている人なんだろうか。


優しい声で名前呼んだり、大きな手で頭撫でたり。


あたし以外にもそういうことをされた人がいるんだと思うと、なんでだろう。胸がキュってなった。


感じたことのない感情だけど、イイ気分じゃない。



――ガチャ…



「…っ」


突然開いた玄関に驚いて咄嗟に顔をあげてしまった。


そこに立っていたのは背が高くてスタイルが良くて髪の毛を緩やかに綺麗に巻いた、とても美人な女の人―――……


「…あら?」


…え…?


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