君桜
「…学。今、その子と住んでるの?」
ニッと笑った、茜さん。
「……だから?」
低い声で威嚇するように茜さんに言い放つ。
あたしはただ、後ろで震えていることしかできなかった。
「その子、やめといたほうがいいわよ」
「…ッ!!」
やっぱりこの人知ってるんだ…!!
「や、めてください…」
絞り出すような声が出た。でも蚊の泣くような小さな声できっと茜さんには聞こえていない。
「知ってるの?学、その子のこと全て知っていて一緒に暮らしているの?」
何を言うつもりなの…?
「お前には関係ないだろ。いいから帰れよ」
茜さんは一向に帰ろうとしない。
むしろだんだん玄関に近づいてきている。
言うつもりだ、きっと。
学さんに、あたしの過去のこと。
あたしを見た最初から、きっと決めていたんだ。