君桜



「――――――!」



声を出そうとしても、



喉に何かが通ったみたいに、



出なくて。




「葉奈」




さっきからずっとあたしの名前を呼び続ける、学さん。



あたしは何もできないし、言えない。



あたしの目線に合わせようと、学さんも片膝をついてしゃがみ込む。



漆黒の目が、あたしに向く。



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