君桜
✿Sprout
あれから。
優さんが温かいココアを入れてくれて、体温を奪われた身体に再び温かさが戻ってくるような気がした。
優さんは何も聞かなかった。
学さんは、黙ってあたしの背中をさすってくれた。
「葉奈ちゃん?」
今まで口を閉ざしていた優さんが、突然話しかけていた。
「葉奈ちゃんと話したいって言ってるやつがいるんだけど…、いいかなぁ?」
眉を下げて困ったような顔で聞く。
なんか、優さんっていろんな表情するんだなァ。
こういうのって、いいなァ。
あたしは、どんな顔をしてるんだろう。
「はい」
あたしと話したい人?
「おい、美羽」
カウンターの奥から…さっきの美人さんが出てきた!!
え?
この超美人さんがあたしと話したいって言ったの!?
「葉奈ちゃんっていうの?やぁ~ん、超可愛いィ~!!」
ぎゅっと抱きしめられた。
…ヤバい。
この人、超いいにおいするんですけど。
美人な人って完璧だなァ。