君桜
「…っ」
視界が一瞬暗くなった。
今日は暑いから目眩がするのかなぁ。
学さんと優さんと美羽ねェは和気藹藹としゃべっている。
少しだけ、休ませてもらおうかなぁ…。
今日は少しだけ、身体がだるい。
普段、こんなことはないから。
――カタンッ
カウンターの席に腰を掛けた。
今日はお客さんはいないけど、もしいたら…
明るくて、素敵な雰囲気に包まれたお店。
優さんの性格みたい。
そして美羽ねぇの雰囲気みたい。
「………う~…」
頭が痛い。
机に突っ伏す。
身体が熱い。
「…っ、はぁ…っ」
そっか、
嫉妬したんだね。
美羽ねぇの赤ちゃんに。
愛されて生まれてくるから、
勝手に嫉妬してしまったんだね。
…馬鹿だな。
あたしは、今、幸せじゃないか。