幻想童子
途中で車からおろしてもらい、そこからは徒歩で帰ることにした。


何気なく歩きながらポケットを漁ってるとあの時の手帳を掴んでいた。


「あれから入れっぱなしだったのかぁ」


思えば変な出会いであった。深夜にコンビニの前で年端もいかない女の子と出会う。

絵面を見れば犯罪者と幼女…

いや俺にそんなつもりはない。

「そういえばまた会えるって書き残しあったけど、取りにくるって意味かな?」

わざわざ?

これを残して?

未だにあの女の子がこの手帳を残した理由がわからない。


あまりにも気になったので適当に手帳を流し読みしていった。

「文字でギッシリだな……ん?」

女の子のものとは思えないほど文字だらけだったが、よく見てみるとただ羅列しているわけではない。

「これは…日記か?いや違うなこれは…」

日記かと思ったがちゃんと読み返してみると物語のようになっていた。

「これは…!?」

確かに物語なのだが、既存する作品とは明らかに何かが違う。
どこか懐かしいような不思議な感覚。

「これは…童話?」

少し古い感じでいて、なお現在の作品とは違う面白さを出している。
グリム童話が有名だが、これはそれに匹敵するほど

「あの子がこれを書いたのか…?」
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