幻想童子
内容は様々な国の出来事を少し崩した感じで書かれていた。

「あんな小さな子にこんな才能が…」

まだ12歳くらいなのにハッキリとした文面で書かれており、尚且つ見るものをどこか引き込むような内容。
漫画家の俺ですら引き込まれるほどよくできている。


「あの子将来は有望な作家になれるかもな…」


そうつぶやきながら、読んでいるとあることに気づいた。

「これ…。これもだ…これも」

どれを読んでいても可哀想な内容ばかりで、何ひとつハッピーエンドで終わっている話ばかりだ。
童話とは実話を元に作られることがほとんどだ

そこからファンタジーのようにアレンジされる。
グリム童話は割と忠実に作られ、少し残酷な表現もされている。

この童話も少し残酷な表現もあるが主に悲しい話を主軸に書かれていたためあの子なりの配慮があってのことだろう。

「こんな作品を書く人と仕事してぇな…」

確かにこんな面白い話を書ける人と仕事すると挿し絵の描き手にも力がはいる。
逆を言えばプレッシャーにもなるんだが、少なくとも描きたいとは思う。

しかし世の中絵と内容と雰囲気が合う作品など数えるくらいしかない。それほどまでに難しい。

特に漫画やライトノベルはどちらかの均衡がとれなくなるだけで駄作扱いされる。

内容が良くても作画が崩壊してると意味がない。小説ではそんなことはないが漫画だと致命傷である。

ライトノベルでも漫画同様に絵もそれなりになくては売れることはあまりない。よほど内容が良くない限りは。


「まあ、俺じゃ均衡とれるはずもないか」

自分の中では納得しつつもどこかもやもやする気持ちはおさまらなかった。

その深夜

牛乳が切れていたからコンビニへ行くことにしたがまた出会ってしまった…


彼女に。
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