幻想童子
「どうかしたか?」

「あなた有名なの…?」

いやこの子の方が目立っているんだが

「うん。まあこの辺では色々やらかしたからね」

昔の話だがこの辺で俺を知らない奴は少ないと思う。少なくともヤンキーで俺を知らない奴はいないな…。

「そうなの…」
そう言うと女の子は周りを気にしたのかチラチラ視線を変えていた

「ん?どうした?」

「私と歩いてるから周りの人から色々言われてるんじゃ…」

どうやらこの子は自分のせいで俺に変な噂がたつのを気にしていたようだ。

「そっ、そんなことねぇぞ!ほらお前みたいに綺麗な女の子が珍しいからみんな見ているんだよ。うん」

下手なフォローをするしてはみるものの

「……口説いてる…?」

「ぶっ」
そう言われて思わず吹き出してしまった。


「んなわけあるかあ!!」
凄い勢いでツッコんでしまい

「声おおきいよ…」


「あ、ああわりぃ…」

俺のフォローは
女の子には意味のないことだった…。
というか
なんつー毒のある少女だ。

「113番地はこの辺だなぁ」


数十分歩いてる着き
後ろを振り向いて女の子に確認しようとしたが姿がなかった


「あれっ?まじかよ!?」

辺りを見回したが人影一つなく
ただ足元にメモ帳のようなものと紙切れが置いてあった。


「なんじゃこりゃ。あの子の忘れ物か?」

と思い手に取ってみると
紙切れに


ありがとう。またあえるよ

と書き残しがあった。


「なんだよそれ」


なんとも不思議な出会いを体験し、釈然といかないまま家路についた。


翌日114番地を探してみたが結局見つかることはなかった。
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