幻想童子
「ノリさん。やっぱ俺絵柄変えますよ」

「なんでだ?」

打ち切りが立て続けに起こっているのは間違いなく俺の絵柄のせいだ。


「あきらかに俺の絵柄のせいじゃないですか。やっぱ変えていかないと、周りには受けないんすよ」

「……」

「俺たちって結局どんなに自分のかきたいものをかいても、それが万人受けするかどうかってわかんないじゃないですか。」

俺だってできればこんなこと言いたくない。でも現実を突きつけられて、自分の全てが通用しない。こんなことになれば誰でも自分を変えていかなきゃいけないと思ってしまう。でもそれはきっと

「なあ、それって絵師、漫画家としてのプライドを捨ててないか?」

「他に方法がないですし、俺の意地でノリさんの足引っ張りたくないし」
「俺は気にしてねぇって言ってるだろ。そんな風に思うくらいなら俺だったらこんな仕事やらねぇよ」

ノリさんの言うとおりでそれは俺自身のプライドを捨てている。そのことにノリさんも憤りを感じているのか、少し怒り口調だった。


「すみません。もうすぐ仕事なんで会社行きますね」

「ああ」

ギクシャクした空気から逃れるように会社へ向かった
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