幻想童子
「ほらお前らも飲め!!」

乗り気じゃないまま始まり、二時間が経とうとしていた。

俺は酒が大の苦手でカクテル一杯でも吐いてしまうほど酒に弱い。

成人式が終わった後の飲み会で死ぬほど飲まされてから缶ビール一本ですら危うい。

ノリさんとよく仕事のあとに缶ビールを飲んでるが殆ど残している。(練習も兼ねて飲んでいる)今日もジョッキを三杯飲まされ、ついさっきリバースしてきたとこだ。

「だから気分は最悪だ…」

「何言ってるんだ?」

「いや、こっちの話だ。気にするな…」

独り言を言ってると同僚がよこやりを入れてきた
「お前大丈夫か?顔蒼白だぞ」

「俺先に帰るわ…」

同僚だけでなく、女の子達も心配そうにしていた
「一ノ瀬君真っ先にアイツ(部長)に絡まれたからね。誰かに送ってもらったほうがいいよ」

「いやそれは悪いし、それにあの部長がなんて言うか…」

「先に帰るんだから同じだろ?」

「俺一人がグチグチ言われるならまだいいが、送ってくれた奴までなんか言われるのはちょっと…」

「気にするな。アイツに言われるのにはみんな慣れてるから」

そういうと隣に座っていた同僚が立ち上がり、俺は肩につかまるような形で運ばれた。幸い部長は女の子達と盛り上がっていたため気づかれずに抜け出すことができた。

普通なら断って抜け出すものだが、呼ばれた社員全員から部長は嫌われていたためみんな何の断りもなく出ていっている。部長そのものが傍若無人で自分勝手な人なのでみんなも勝手に行動していることが多い。
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