堕天～追放への序章～

疑惑

神の判断から、しばらくの時が過ぎ、アムールも女性と呼べるほど成長していた。

この間に、ルシフェル達には彼女に対して、大きな発見があった。

羽のない彼女は、代わりに膨大な魔力を持っていた。

ただし、コントロールは破滅的に出来ていない。

そのため、何度となく、ルシフェルの仕事場は犠牲となっていた。

「…いい加減、魔力を爆発させるな」

もう、うんざりするほど言い続けた言葉を、ため息混じりに吐き出す。

しかし、言われた本人は気にした様子もなく、

「なかなか、難しいのよ。るぅが教えてよ」
「いや、何度も教えたはずだ。お前は、なんにしろざつすぎるんだよ」

何度も何度も繰り返し教えても、コントロールできてない。しかも、不思議なことに、誰もが長々と語る呪文を全く使わずに魔力を出す。

こうなってしまうと、ルシフェルでは手に負えない。

自分と、原理から違うのだから。

「もうっ！どうにかしてよ。かぁさんに怒られるぅ」

「知らん。お前はまず感情をコントロールしろ」

彼の言うことは、もっとだと理解できるのだが、思うほど簡単にできない。

だから、いつもこの部屋はボロボロになり、ぶつくさ文句をたれるルシフェルが魔力を使い、修復するのだが…

すぐに同じ有様となってしまう。