BLACK
「お、来た来た」


モーテルの出口から男女が2人。


「悪いね…」


向いのビルの影から、毎度のセリフを心なく吐いた。


これで給料もらってるからね。


悪く思うなよ。


一眼レフのカメラを構えシャッターに指をかけた。


─ボフ


「おっ!?」


─カシャカシャカシャ


捕らえていた方向を逸れ、カメラは連写音を響かせた。


背後に軽い衝撃が走り、カメラを握った手がブレてしまった。


再び構え直すがすでに遅し。


2人の姿は夜の街へと消えて行った。


「うわぁ~最悪」


落胆した気持ちはでかいが…

先程感じた小さな衝撃に、恐る恐る振り返る。



それは小さな小さな『少女』がひとり。


僕のお尻に顔を埋めて立っている。


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