BLACK
「あの子はもう一生このままなんですよ!」
母親の辛い顔を思い出す。
誰にも、どうすることも出来ない事実。
店が閉まった店内で、僕は客が書いたお願いレターを開いた。
『両想いになれますように』
『病気が治りますように』
『離婚したい』
『大学合格!』
沢山の人の想い。
でも叶えるのは、神様なんかじゃない。
魔法でもない。
結局自分自身なのだ。
白紙のお願いレターを広げて、僕はペンを手にした。