BLACK
snow
「よーしよしよし」
お兄さんは私の頭を撫でてくれた。
甘いチョコレートがおいしくて。
今日起きたことが悲しすぎて。
涙が溢れ出た。
────
「きゃ───!!!」
すごい悲鳴で体が動かない。
何が起きたの?
「ももちゃん…何かあった──」
-ドンッ
「イタッ」
ももちゃんが私を押し退けて外に飛び出したようだ。
あ、杖…
尻餅を着いた拍子に杖が手から離れてしまった。
「杖…杖…」
手探りで杖を探す。
「…ないよぅ」
這いながら指に細長い、硬い感触。
杖だ!
と同時に、すぐ隣に柔らかいふっくらとした、暖かいモノ。
「…なに…」
触ってすぐに手を引っ込めた。
ヌルヌルした感触。
何これ…。
そういえば、この臭い…