BLACK
僕はポケットをガサガサ。


鞄をゴソゴソ。



ようやく見つけ出したのは、食べかけのチョコレートだった。


「チョコレート好き?」


目の見えない少女を気付かい言葉で説明してみる。


「うん」


少女はまたも、申し訳なさそうに答えた。


「お兄さんお腹いっぱいだからコレあげるよ」


小さな手を取り、その掌の上に食べかけのチョコレート菓子を置いた。


寒い空の下で、甘い香りが漂う。


少女は包み紙を上手に広げ、おもむろにパクリ。


「お、おい、どうした?」


口に運ばれたチョコレートの甘さが、少女の目から涙となって溢れた。


「よーしよしよし」


あやし方なんて分からなかった。


犬を撫でるのとはわけが違うが…


とりあえず頭を撫で続けた。




今日はどうやら、長い夜になりそうだ…


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