BLACK
なんだろ?
「美雪ちゃん!手出してごらん」
言われて手を差し出した。
何も起きない。
「何?」
「もうちょっと待って!」
「!」
掌に冷たい感覚。
時間を置いて、優しく冷たさが舞い落ちる。
「雪だ!」
「正解!」
そして妙な感覚に襲われた。
あれ?
段々明るくなってくる。
もう朝?
「お兄さん、今何時?」
「8時だよ?どうかした?」
「何か美雪の目が、おかしいの。段々明るくなって───」
それは不思議な光景だった。
真っ黒な空から、純白の雪がフワフワ舞って。
まるで自分が空に昇っている様。
「うわぁぁぁぁ!」