BLACK
思わず両手を挙げていた。


「ど、どした!」


お兄さんが慌ててこちらを見る。


「お兄さん、目の下にホクロがあるんだね!」


「え…?」


「美雪、目が見えるの!見えるの!」


「えぇっっ!!」


私はお兄さんの背中を飛び下りた。


全てが見えた。


舞い落ちる雪や。

行き交う人や。

夜の街のネオンや。


全てが綺麗で。
お兄さんの手を引いて走り出した。


「美雪ちゃん!大丈夫なの?」



「うん!嬉しいの!」

見上げた空は、吸い込まれそうな黒。


綺麗で涙が溢れていた。


「奇跡だね!」



「うん!神様のおかげかな?」


叶う筈がないと諦めてた願い。


忘れていた感覚。



「生きてて良かった…」


お兄さんは私の頭を優しく撫でくれた。




でも、何で願いが叶ったんだろ?


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