BLACK
「どしたの?急にしおらしくなって…」
そして私は思い出した。
「そうだ。今日店長の誕生日…」
再び見た俊の顔は、素直じゃないダルそうな顔。
「いいよ」
「仕方ない」という顔で言ってやる。
でも俊の顔は、一瞬『子ども』の顔に戻っていた。
今時の高校生だけど、良い息子に育てたね。
店長。
なんだか頬が弛んでしまう。
「なんだよ気持ち悪ぃなぁ」
「俊、お礼は?」
「は?」
「こんな大切なもの渡してやるんだから、当たり前でしょ?」
小さな緑の箱を見せつける。
俊は面倒臭そうに頭を掻いた。