BLACK
学生カバンから取り出したものを、フンと鼻を鳴らして投げた。
両手で落とさぬ様受け取ったのは、銀色の長方形。
「ありがと」
「くたばれ」
「クソガキ」
いつもの「さよならの挨拶」を交わす。
憎たらしい高校生は風のように消えていった。
「可愛い奴め」
上から目線で少し良い気分。
次はどうやって苛めてやろうか。
またしても邪な妄想が脳を支配するところだった。
「さてさて…」
誰もいなくなった店内で、魔女のように笑った。
はぁ、やっぱり病気かしら。
手に入れた先程のブツを眺め、味見の準備にとりかかる。
銀色の包装紙を破り、口に入れたひと欠片。
「ん~幸せ」
甘い甘い。
チョコレートの香りが口一杯に広がった。