零泊七日生活
目的地なんか決めてない。
僕はとりあえず、線路沿いに歩くことにした。
朝の通勤ラッシュのせいだろうか、車の交通量は凄まじかった。
信号が赤になる度に滞る蟻の行列。
そんなに急いでどこに向かうんだい?
僕の横を息を切らしながら走るスーツの男。
ツカツカと音を立てて早歩きする女。
慌ただしい中、悠々と歩く僕。
世界の時間と僕の時間は違っているように思えた。
僕だけ別世界にいるようだ。
度々、朝の香りを体に巡らしつつ、一歩一歩と進んでいた。
果たして、僕は前に歩いてるのだろうか?
もしかすると、後ろに歩いているのかもしれない。
目的地のない旅に方向なんてなかった。