櫻井くん。
カッと頭に血がのぼるのがわかった。
やばい。このままじゃ真っ赤になっちゃう。
「よ、良かった!こちらこそなんかごめんね?じゃぁねっ!」
顔を見られないように素早く立ち上がって自分の席に戻ろうとすると、「あ、待って。」と櫻井くんに呼び止められた。
「今日の放課後、自習室に来てくれる?」
「…へ……?」
「時間無い?」
「いやっ、全然大丈夫…だけど、」
「じゃぁ来て。待ってる。」
頭が真っ白になったまま、私は「わかった。」と返事をしてフラフラと席に戻った。
目の焦点が合わない私を心配してか、奈々が「どうしたの!?大丈夫!?」と私の肩をゆする。
「大丈…夫…」
「ここじゃアレだからちょっと来て。」