櫻井くん。



「はい…。」



前の方に目をやると、奈々がこっちを見て可笑しそうに笑っていた。



まるで、あなたの考えてることなんて全部お見通しよ、みたいな顔をして。



ムッとして、私はグラウンドに視線を移した。



失礼な。

クラスで私だけが馬鹿にされてるみたい。



「……」


ふと気になって、いつものように少しだけ振り返って。


櫻井くんを視界に入れた。




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