櫻井くん。







「もー!百合ってほんと趣味悪い!てか高2にもなって彼氏できたこと無いとかあり得ないから!」



あんパンをほう張りながら私の前に身を乗り出すのは、親友である廣井奈々(ヒロイ ナナ)。



この高校は三年間クラス替えが無いから、去年も来年もずっと一緒だ。



「はいはい…その台詞100回目。」



人生において彼氏ができたことが一度もない私が許せないらしく。



「まー普通の片思いならまだしも、なんでアイツ?」



奈々が堂々と櫻井くんを指差すから、私はあわててその手を押さえた。



「ちょっとやめてよ!櫻井くんに見られたらどうすんの」




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