櫻井くん。
お箸のことや、古典のノートのこと。
もしかしたら無駄じゃなかったのかもしれない…。
そんなことを考えていると、授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
先生の指示で学級委員が号令をかけ、教室が騒がしくなる。
もう一度後ろを振り返ると、櫻井くんはカバンの中に教科書をしまっているところだった。
みんなはおしゃべりをしてるのに。
ホームルームまでのわずかな時間に、櫻井くんが誰かと雑談してるところなんて、誰も想像できないだろう。