櫻井くん。



ガラッという音がしたあと、徐々に遠くなっていく足音が耳に響いた。


上履き特有の、キュッキュッ、という足音。


その音が聞こえなくなってから、私はそっと顔を上げた。



自分では見えないけど、きっとひどい顔。


早く帰って顔を洗おう。


夕食もお風呂も早めに済ませて、自分の部屋にこもろう。



そうしたら――

頭をちゃんと整理しなきゃいけない。





< 52 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop