櫻井くん。



重たい体を起こしてベッドから降り、制服に着替えた。


家を出るには早すぎる時間だ。


だけど…私にはやらなきゃいけないことがある。



メモ用紙に『今日は用事があるから早めに行くね。』と残し、音をたてないように家を出た。



もうすぐ夏が来るとはいえ、早朝は少し肌寒い。


鳥のさえずりがあちらこちらで聞こえる。


まだ明るくなりきっていない空の色や澄んだ空気の匂いが、私の心にすっぽりおさまる。




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