すきのきもち



「…その相手は、私……ぢゃぁないんだよね…?」


「………っ……ごめん。でも嘘をついて付き合う事ができなかった…。傷つけてしまうから……。でも実際今、傷つけてしまってんだよな…。」


桜木は目に涙を溜め、俺の目から視線を外さず、真っ直ぐに俺を見ている。


「本当にごめん。」


「謝んないでよ…。陰野君の大切な人…って、歩香………でしょ?」


「……何で……?」


何で桜木が知ってんだ…


「陰野君ね、自分ぢゃぁ気づいてないかもしれないけど、学校に居る時いつも、歩香を目で追ってた。その歩香を見る目は、あたしの前では見せてくれない、陰野君だったんだ…」


そしてまた桜木が続ける。


「本当は気づいてたのにね。見て見抜ふりをしてたんだ。失いたくなかった。初めてこんなに好きになれたから……。私の方こそ…ごめんね。」


「何で桜木が謝んだよ…悪いのは俺だから。」


全部…中途半端にしてた俺が悪い。



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