冬うらら~猫と起爆スイッチ~
11/30 Tue.-4
●23
あっ。
『メイは、おどろきとまどっている』
RPGの戦闘画面なら、さしづめ彼女は先制攻撃を食らったモンスターというところだった。
カイトが、彼女の手首を掴んで引っ張ったのである。
かぁっと、一気に耳が熱くなったのが分かった。
お互い、ちゃんとした服を着て出会ったのは、本当に今が初めてのこと。
彼の前で、自分の姿の心配をしなくていいというのに、どうしても今までのことのせいで、恥ずかしかったり落ち着かなかったり、不思議だったり。
どうやって、真顔で会えるというのか。
それなのに、ハルコは彼女をカイトの前に引き出した。
しかも、どんな言葉から始めたらいいのか分かりもしないメイを置いて、帰ろうとするのである。
何故帰るのか分からなかった。
いや、それ以前に彼女の言った言葉に、不思議な単語が混じった。
『夫』?
メイは、驚いた余り声をあげてしまう。
カイトとほぼ同時に。
でも、きっと彼は違う意味で驚いたのだろう。
どういう意味かは、分からないけれども。
夫――ということは、ハルコは妻なのだ。
けれども、彼女の相手はどこか知らないところにいる知らない人のこと。
わたし…。
自分が、妙な誤解をしていたことに気づく。
カイトとハルコがどういう関係かは分からないが、少なくとも彼女の意識を掠めたものとは、まったく違っていたのだ。
早とちりだったのである。
バカみたい。
掠めた意識で、ワケもなく泣き出してしまったことを思い出すと、顔から火が出そうだった。
彼女に会わせる顔がない。
しかし、ここでハルコに帰られても困るのだ。
慌てて呼び止めようとした。
自分の中で、何が生まれるか分からない卵を抱かされている気分で、カイトと2人きりにされるのは困るのである。
それなら、まだ恥ずかしくてもハルコといたかった。
なのに、彼女は帰るのをやめる気配がない。
笑顔で、『また明日』というのだ。
あっ。
『メイは、おどろきとまどっている』
RPGの戦闘画面なら、さしづめ彼女は先制攻撃を食らったモンスターというところだった。
カイトが、彼女の手首を掴んで引っ張ったのである。
かぁっと、一気に耳が熱くなったのが分かった。
お互い、ちゃんとした服を着て出会ったのは、本当に今が初めてのこと。
彼の前で、自分の姿の心配をしなくていいというのに、どうしても今までのことのせいで、恥ずかしかったり落ち着かなかったり、不思議だったり。
どうやって、真顔で会えるというのか。
それなのに、ハルコは彼女をカイトの前に引き出した。
しかも、どんな言葉から始めたらいいのか分かりもしないメイを置いて、帰ろうとするのである。
何故帰るのか分からなかった。
いや、それ以前に彼女の言った言葉に、不思議な単語が混じった。
『夫』?
メイは、驚いた余り声をあげてしまう。
カイトとほぼ同時に。
でも、きっと彼は違う意味で驚いたのだろう。
どういう意味かは、分からないけれども。
夫――ということは、ハルコは妻なのだ。
けれども、彼女の相手はどこか知らないところにいる知らない人のこと。
わたし…。
自分が、妙な誤解をしていたことに気づく。
カイトとハルコがどういう関係かは分からないが、少なくとも彼女の意識を掠めたものとは、まったく違っていたのだ。
早とちりだったのである。
バカみたい。
掠めた意識で、ワケもなく泣き出してしまったことを思い出すと、顔から火が出そうだった。
彼女に会わせる顔がない。
しかし、ここでハルコに帰られても困るのだ。
慌てて呼び止めようとした。
自分の中で、何が生まれるか分からない卵を抱かされている気分で、カイトと2人きりにされるのは困るのである。
それなら、まだ恥ずかしくてもハルコといたかった。
なのに、彼女は帰るのをやめる気配がない。
笑顔で、『また明日』というのだ。