冬うらら~猫と起爆スイッチ~
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そんな。
また一晩、カイトと2人きりにされてしまう。
そう思ったら、不安が津波のように押し寄せてくる。
色々カイトに聞きたいこととか、聞かなければならないことがあるけれども、それをたった1人で彼と向かい合って聞けるかというと――とてもじゃないが、自信なんてなかった。
カイトが帰ってくるまでに、ハルコからいろいろ聞こうと思ってたのだが、彼女もいろいろ用事があるようで、よく姿を消した。
自分一人に構ってもらうワケにもいかず、ぽつんと彼の部屋で待つのだ。
時々顔を出して、退屈そうな彼女に本を持ってきてくれたり、お茶を入れてくれたりした。
でも、ハルコはメイのことを詮索もせず静かに微笑んでいて、だから彼女も何も聞くことが出来なかったのだ。
そんな情報不足のまま、カイトは帰ってきてしまって。
おまけに、これから2人きりなのだ。
心の準備もできてない彼女に向かって、彼が怒鳴った。
「来い!」
メイは、ビクッとしてしまった。
すぐ側で銃声を聞いたような気分だ。
本当に、短くて強い音。
でも、まっすぐ彼女にだけ向けられた言葉。
コイ。
近づけということ。他には、池と人の心に住んでいるもの。
どうして、カイトは彼女を呼ぶのだろう。
硬直したままでいると、彼は駆け寄ってくる。
ぶら下げたネクタイは、まるで朝の姿を思い出させる。
彼女が締めてしまったネクタイだ。
そのネクタイが、本当に目の前に来たのが分かった。
手をちょっと上げるだけで、いやでも触れるくらい近く。
心臓が止まりそうだった。
彼の衝動を感じさせるオーラが、メイを取り巻いたかのように思えたのだ。
そんな。
また一晩、カイトと2人きりにされてしまう。
そう思ったら、不安が津波のように押し寄せてくる。
色々カイトに聞きたいこととか、聞かなければならないことがあるけれども、それをたった1人で彼と向かい合って聞けるかというと――とてもじゃないが、自信なんてなかった。
カイトが帰ってくるまでに、ハルコからいろいろ聞こうと思ってたのだが、彼女もいろいろ用事があるようで、よく姿を消した。
自分一人に構ってもらうワケにもいかず、ぽつんと彼の部屋で待つのだ。
時々顔を出して、退屈そうな彼女に本を持ってきてくれたり、お茶を入れてくれたりした。
でも、ハルコはメイのことを詮索もせず静かに微笑んでいて、だから彼女も何も聞くことが出来なかったのだ。
そんな情報不足のまま、カイトは帰ってきてしまって。
おまけに、これから2人きりなのだ。
心の準備もできてない彼女に向かって、彼が怒鳴った。
「来い!」
メイは、ビクッとしてしまった。
すぐ側で銃声を聞いたような気分だ。
本当に、短くて強い音。
でも、まっすぐ彼女にだけ向けられた言葉。
コイ。
近づけということ。他には、池と人の心に住んでいるもの。
どうして、カイトは彼女を呼ぶのだろう。
硬直したままでいると、彼は駆け寄ってくる。
ぶら下げたネクタイは、まるで朝の姿を思い出させる。
彼女が締めてしまったネクタイだ。
そのネクタイが、本当に目の前に来たのが分かった。
手をちょっと上げるだけで、いやでも触れるくらい近く。
心臓が止まりそうだった。
彼の衝動を感じさせるオーラが、メイを取り巻いたかのように思えたのだ。