冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「カイト…」
ギックー!!!!
カイトの心臓は、鷲掴みにされたように驚いた。
名前が呼ばれたからである。
しかし、それはメイではなかった。
彼女が、そんな風に呼ぶハズもないからだ。
第一、声も違う。
もっと低い――女じゃない生き物。
カイトは、おそるおそる顔を上げた。
メイのうつむいた頭の向こうには。
能面の表情の、彼の相方がいたのである。
「うわっ…!」
カイトは、慌ててメイから飛び退いた。
まるで情事の現場を、目撃されてしまった気分である。
彼女も、第三者の乱入に我に返ったのか、ごしごしと目を拭き始めた。
「今日はお疲れさまでした…契約書をいただいてまいりました。私が社長の代理で印鑑を押させていただきましたので、確認をお願いします」
ツカツカとダイニングに入ってきながら、彼に茶封筒を差し出す。
いつもよどみのない機械的な足取りだが、今日は尚更、ロボット軍団が攻め込んでくる時のような速度だ。
てめっ!
カイトは、近づいてくる彼の手からばっと封筒を奪い取ると、さっさと消えろ、という目で睨みつけた。
今でなくてもよさそうなことを、わざわざ持ってくるのだ、この男は。
ここにただよっていた空気を、一切感知してないに違いない。
センサーがファジィ対応ではないのだろう。
この初期型ロボット野郎!
今度、絶対改造してやる。
カイトは心に誓った。
茶封筒を受け取ったものの、開けるつもりもない。
いま開けてもしょうがないからだ。
それよりも、この唐変木ののっぽを、どこか異次元へ飛ばさなければならなかった。
でなければ、その向こう側にいるメイが、全然見えないのである。
いま、どんな表情をしているかすら。
「それから…」
しかし、シュウはまったくもって話をやめる気はないらしい。
「カイト…」
ギックー!!!!
カイトの心臓は、鷲掴みにされたように驚いた。
名前が呼ばれたからである。
しかし、それはメイではなかった。
彼女が、そんな風に呼ぶハズもないからだ。
第一、声も違う。
もっと低い――女じゃない生き物。
カイトは、おそるおそる顔を上げた。
メイのうつむいた頭の向こうには。
能面の表情の、彼の相方がいたのである。
「うわっ…!」
カイトは、慌ててメイから飛び退いた。
まるで情事の現場を、目撃されてしまった気分である。
彼女も、第三者の乱入に我に返ったのか、ごしごしと目を拭き始めた。
「今日はお疲れさまでした…契約書をいただいてまいりました。私が社長の代理で印鑑を押させていただきましたので、確認をお願いします」
ツカツカとダイニングに入ってきながら、彼に茶封筒を差し出す。
いつもよどみのない機械的な足取りだが、今日は尚更、ロボット軍団が攻め込んでくる時のような速度だ。
てめっ!
カイトは、近づいてくる彼の手からばっと封筒を奪い取ると、さっさと消えろ、という目で睨みつけた。
今でなくてもよさそうなことを、わざわざ持ってくるのだ、この男は。
ここにただよっていた空気を、一切感知してないに違いない。
センサーがファジィ対応ではないのだろう。
この初期型ロボット野郎!
今度、絶対改造してやる。
カイトは心に誓った。
茶封筒を受け取ったものの、開けるつもりもない。
いま開けてもしょうがないからだ。
それよりも、この唐変木ののっぽを、どこか異次元へ飛ばさなければならなかった。
でなければ、その向こう側にいるメイが、全然見えないのである。
いま、どんな表情をしているかすら。
「それから…」
しかし、シュウはまったくもって話をやめる気はないらしい。