冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
メイの方に行くのではない。
ドアをへだてた、続き部屋の調理場へ行くのだ。
電気をつけて、ばっと周囲を探す。
ハルコが綺麗に掃除をしてくれているようで、流しなどピカピカだ。
しかし、彼が探しているものは流しじゃない。
顎を巡らせる。
あんな、『泣きました!』と宣言しているような顔のまま、食事をさせるワケにもいかなかったのだ。
第一、カイトがそんな顔を見たくなかった。
フキンで顔を拭かせるワケにもいかない。
あれは、何に使ったか分からないようなタオルだ。
カイトは、めぼしいものが見つけられなくて、足早に調理場をウロウロした。
ようやくキッチンタオルを見つける。
箱ごとがしっと掴むと、カイトは調理場を後にした。
ドアも開け放したまま、電気もつけっぱなしのまま、カイトはダイニングに戻ったのだ。
メイは、うつむいていた。
その横に立って、ダン、と箱ごと置く。
そして、また無言で自分の席に戻った。
どすん、と座って。
彼女にかける言葉を検索する。
とにかく、メイを少し安心させる言葉が必要だったのだ。
「あー…」
とりあえず唸ってみる。
これで言語中枢のつかえが取れるというワケではないが、このまま黙っていると喉の奥から言葉ではなく、違うものが出てきそうだった。
「あー…あのな」
がしっと頭に手を突っ込む。
食事の前には、あまり衛生上よくないことだが、いまの彼はそれに気づいていない。
メイは、彼の持ってきたキッチンタオルを取り出しながら、顔を拭き始める。
でも、言葉は聞こえているはずだ。
メイの方に行くのではない。
ドアをへだてた、続き部屋の調理場へ行くのだ。
電気をつけて、ばっと周囲を探す。
ハルコが綺麗に掃除をしてくれているようで、流しなどピカピカだ。
しかし、彼が探しているものは流しじゃない。
顎を巡らせる。
あんな、『泣きました!』と宣言しているような顔のまま、食事をさせるワケにもいかなかったのだ。
第一、カイトがそんな顔を見たくなかった。
フキンで顔を拭かせるワケにもいかない。
あれは、何に使ったか分からないようなタオルだ。
カイトは、めぼしいものが見つけられなくて、足早に調理場をウロウロした。
ようやくキッチンタオルを見つける。
箱ごとがしっと掴むと、カイトは調理場を後にした。
ドアも開け放したまま、電気もつけっぱなしのまま、カイトはダイニングに戻ったのだ。
メイは、うつむいていた。
その横に立って、ダン、と箱ごと置く。
そして、また無言で自分の席に戻った。
どすん、と座って。
彼女にかける言葉を検索する。
とにかく、メイを少し安心させる言葉が必要だったのだ。
「あー…」
とりあえず唸ってみる。
これで言語中枢のつかえが取れるというワケではないが、このまま黙っていると喉の奥から言葉ではなく、違うものが出てきそうだった。
「あー…あのな」
がしっと頭に手を突っ込む。
食事の前には、あまり衛生上よくないことだが、いまの彼はそれに気づいていない。
メイは、彼の持ってきたキッチンタオルを取り出しながら、顔を拭き始める。
でも、言葉は聞こえているはずだ。