冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 ダイニングは、まだマシだった。

 あそこは食事をする場所である。

 たとえ向かい合っていても、他にもすることがいっぱいあるのだ。

 しかし、ここで向かい合わせで座ったら。
 本当に何もすることがないのだ。

 ガタッと立ち上がって、カイトは机の方へと向かった。

 昨日電源をブチ切ったままのノートパソコンが、まったくその時のままの状態で放置されている。

「テキトーに、そこら辺に座ってろ…」

 オレは、仕事をする。

 そういうポーズを背中で見せつけながら、カイトは電源を入れた。

 前回不正終了をしたので、ディスクチェックをするからちょっと待ってくれと、コンピュータが告げてくる。

 シャツ姿のまま、彼はその椅子に座った。

 シーン。

 思い切り静かだ。

 あん?

 カイトは眉を顰めた。

 どうしても、無意識に後ろの気配を探ってしまう自分に気づかないまま、彼は振り返った。

 そして――吠えた。


「誰が、んなとこに座れっつったー!!!!」


 メイは。

 ドアのすぐ側の絨毯の上に座り込んでいたのだった。
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