冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
今日着ていたシャツ。
カイトは、眉を顰めた。
シミをつけたことを、思い出したのだ。
食事の時に、シチューをよそうなどという、慣れないことをしたせいである。
シミをつけたこと自体は覚えていた。
ただ、それどころではなかったし、細かいことは気にならなかった。
しかし。
気になった人間がいたのである。
メイは、おそらく、彼のシャツのシミを抜いていたのだ。
バカ野郎…。
シャツのシミなんて放っておけばいいのだ。
こんなに冷たくなるまで、風呂上がりの半乾きの身体のままで、するほどのことではないのだ。
見れば、彼女も裸足だ。
冷たくないハズがない。身体中冷え切っているのは間違いなかった。
シャツなんか、どうでもいいんだよ!
この、バカ!
心の中で激しく怒鳴っているというのに、口はまだ開かない。
ただ。
狂おしく、抱きしめたかった。
何度目の衝動だろうか。
自分でも分からなかった。
その衝動のままに従ったのは、最初の一回だけだ。
まだ、この家に来る前の彼女を抱きしめた。
初めて覚えた瞬間で、こらえきれなかったのだ。
何度も覚えたからといって、楽にこらえているワケではない。
ただ、それは彼女に誓った約束を違えることだ。
プライドを賭けて許せないことだった。
メイは、まだ顔を上げない。
きっと、彼に怒られるとでも思っているのだ。本当に、怒鳴ってばかりいるので。
それは、おめーが!
言いかけるけれども、それもまた怒鳴りになりそうで。
口にずしっとカセがはめられる。
もう一度、心の中でクソッと呟きながら、カイトは彼女の腕を引っ張った。
早く暖かい部屋へ連れ戻したかったのだ。
こんな冷たく、静かで、そうして角度のある空間にいたくなかった。
ぐいぐいと引っ張って。
そう。
またカイトは、彼女を引っ張るハメになっていたのである。
今日着ていたシャツ。
カイトは、眉を顰めた。
シミをつけたことを、思い出したのだ。
食事の時に、シチューをよそうなどという、慣れないことをしたせいである。
シミをつけたこと自体は覚えていた。
ただ、それどころではなかったし、細かいことは気にならなかった。
しかし。
気になった人間がいたのである。
メイは、おそらく、彼のシャツのシミを抜いていたのだ。
バカ野郎…。
シャツのシミなんて放っておけばいいのだ。
こんなに冷たくなるまで、風呂上がりの半乾きの身体のままで、するほどのことではないのだ。
見れば、彼女も裸足だ。
冷たくないハズがない。身体中冷え切っているのは間違いなかった。
シャツなんか、どうでもいいんだよ!
この、バカ!
心の中で激しく怒鳴っているというのに、口はまだ開かない。
ただ。
狂おしく、抱きしめたかった。
何度目の衝動だろうか。
自分でも分からなかった。
その衝動のままに従ったのは、最初の一回だけだ。
まだ、この家に来る前の彼女を抱きしめた。
初めて覚えた瞬間で、こらえきれなかったのだ。
何度も覚えたからといって、楽にこらえているワケではない。
ただ、それは彼女に誓った約束を違えることだ。
プライドを賭けて許せないことだった。
メイは、まだ顔を上げない。
きっと、彼に怒られるとでも思っているのだ。本当に、怒鳴ってばかりいるので。
それは、おめーが!
言いかけるけれども、それもまた怒鳴りになりそうで。
口にずしっとカセがはめられる。
もう一度、心の中でクソッと呟きながら、カイトは彼女の腕を引っ張った。
早く暖かい部屋へ連れ戻したかったのだ。
こんな冷たく、静かで、そうして角度のある空間にいたくなかった。
ぐいぐいと引っ張って。
そう。
またカイトは、彼女を引っ張るハメになっていたのである。