冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 一体、いま何時だと思っているのか。

 日付変更線など、まだ遠い時間なのである。

 普通の日であっても、たとえ彼女がいなくても、眠いハズなどないのだ。

 なのに、そんな時間にも関わらず、カイトはソファに転がしておいた毛布を掴んで広げた。

 そうして、ソファにひっくり返る。

 オレは眠いんだ!

 そんなオーラを全身から発し、毛布にくるまる。

 手で、照明のリモコンを掴みながら。

「そんな、ダメです!」

 何がダメなのか。

 メイが悲鳴のように言った言葉も無視して、明かりを消そうとした。

 が。

 彼女が、調理場で暗闇を怖がったことを思い出す。

 指が躊躇してしまった。

 そのせいで。

「ベッドで寝てください…私がソファで寝ますから!」

 忌々しいことに、せっかくベッドに置き去りにしてきたメイが、また降りたってきてしまったのだ。

 そうして、カイトの方へと近付いて来ようとしていた。

 内容と行動にムッとした彼は。
 荒っぽい指の動きで、照明を落とした。

 部屋が、いきなり真っ暗になる。

「あっ…!!」

 声が――立ち止まった。
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