冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「…お酒なら、ご自分の部屋にもあるでしょう」
カイトの目的が、何であるのかに気づいたのだろう。
彼は、怪訝そうに後ろからそう言った。
イライライライラ。
ここまで怒鳴らずにいたのは、全部メイの睡眠のためであって、シュウのためではない。
心穏やかだったワケでもない。
当然心の苛立ち度は、メーターを上げていたのだ。
カイトは踵を返すと、入り口の辺りにいる彼の方へと突進した。
そうして、彼の脇から手を伸ばすと、ダイニングのドアをバタンと閉めた。
ちょうど、ドアと自分でシュウを挟んでいるような状態。
これほど近い距離になると、かなり見上げなければならないのが、どうにも腹が立つ。
子供の頃から、身長では一度もシュウに勝ったことはなかった。
まあ、相手の方が年上なのだから、というのもあったのだろうが、遺伝か食生活か生活習慣か、とにかくその辺の問題でもある。
ニョキニョキ伸びやがって。
まるで、ネギに向かって言うように――しかし、忌々しい思いだった。
思い切り、下から睨み上げる。
ドアを閉めたのは、防音のためだ。
「オレがどこで酒を飲もうが、何をしようがオレの勝手だ! いちいち口はさんでくんじゃねー!」
カイトは、心ゆくまで怒鳴った。
シュウの眼鏡が、ズレ落ちそうになるくらいの勢いだ。
怒鳴り終わると、カイトはもう一度ドアを開けた。
そうして、そのひょろ長い身体を蹴り出す。
ゲイン、と。
「ああ…何てことを…」
痛いとかそういうことよりも、彼の仕打ちに不満があったのだろう。
サイボーグ・シュウは、廊下によろけ出た。
バタン。
彼の抗議を、最後までおとなしく聞くタマではない。
シュウは追い出され、ドアはしっかり閉ざされた、ということだ。
向こう側でため息をつく音が聞こえる。
何をされても腹が立つが、いま一番腹が立つのは、このドアをもう一度開けられることだった。
「…お酒なら、ご自分の部屋にもあるでしょう」
カイトの目的が、何であるのかに気づいたのだろう。
彼は、怪訝そうに後ろからそう言った。
イライライライラ。
ここまで怒鳴らずにいたのは、全部メイの睡眠のためであって、シュウのためではない。
心穏やかだったワケでもない。
当然心の苛立ち度は、メーターを上げていたのだ。
カイトは踵を返すと、入り口の辺りにいる彼の方へと突進した。
そうして、彼の脇から手を伸ばすと、ダイニングのドアをバタンと閉めた。
ちょうど、ドアと自分でシュウを挟んでいるような状態。
これほど近い距離になると、かなり見上げなければならないのが、どうにも腹が立つ。
子供の頃から、身長では一度もシュウに勝ったことはなかった。
まあ、相手の方が年上なのだから、というのもあったのだろうが、遺伝か食生活か生活習慣か、とにかくその辺の問題でもある。
ニョキニョキ伸びやがって。
まるで、ネギに向かって言うように――しかし、忌々しい思いだった。
思い切り、下から睨み上げる。
ドアを閉めたのは、防音のためだ。
「オレがどこで酒を飲もうが、何をしようがオレの勝手だ! いちいち口はさんでくんじゃねー!」
カイトは、心ゆくまで怒鳴った。
シュウの眼鏡が、ズレ落ちそうになるくらいの勢いだ。
怒鳴り終わると、カイトはもう一度ドアを開けた。
そうして、そのひょろ長い身体を蹴り出す。
ゲイン、と。
「ああ…何てことを…」
痛いとかそういうことよりも、彼の仕打ちに不満があったのだろう。
サイボーグ・シュウは、廊下によろけ出た。
バタン。
彼の抗議を、最後までおとなしく聞くタマではない。
シュウは追い出され、ドアはしっかり閉ざされた、ということだ。
向こう側でため息をつく音が聞こえる。
何をされても腹が立つが、いま一番腹が立つのは、このドアをもう一度開けられることだった。