冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「うー…」
頭に霞がかかってくる。
そうだ、これでいいんだ、と心の中の自分が自分に言うけれども、何故それでいいのかはもうどうでもよくなっていた。
身体がだるい、頭も重い。
空になったボトル二本を、ガシャガシャとテーブルの上で倒してしまう。
彼が、よろけたせいだ。
部屋。
意識が、そっちに向かっている。
とにかく、そこに行かなければならないと、酔っぱらい特有の妙な義務感に突き動かされて、彼はフラつく足取りでダイニングを出て階段にさしかかった。
確か…部屋に。
すっげー…。
一歩一歩、引き上げるように歩かなければならないけれども、それを苛立たしく思えもしなかった。
ただ、のろのろと歩いて登る。
階段が終わっても、廊下が長かった。
酔っているせいで、そう感じるのだ。
すっげー…何か。
ガチャリ。
重心を、前に押し出すようにしてドアを開ける。
パタン。
後ろ手にドアを放したら、意外に静かに閉まった。
しかし、部屋は真っ暗だ。
何か…。
足はベッドに向かっていた。
身体は、垂直でいることを疲れ過ぎていて、いまにも伏してしまいそうだ。
ベッドの上には。
卵があった。
暗くても、シルエットでそれだと分かる。
毛布で出来た卵。
ああ…。
カイトは、目を細めた。
ベッドにヒザをかける。
すっげー…大…な…。
一瞬で。
意識が墨の中に沈んだ。
「うー…」
頭に霞がかかってくる。
そうだ、これでいいんだ、と心の中の自分が自分に言うけれども、何故それでいいのかはもうどうでもよくなっていた。
身体がだるい、頭も重い。
空になったボトル二本を、ガシャガシャとテーブルの上で倒してしまう。
彼が、よろけたせいだ。
部屋。
意識が、そっちに向かっている。
とにかく、そこに行かなければならないと、酔っぱらい特有の妙な義務感に突き動かされて、彼はフラつく足取りでダイニングを出て階段にさしかかった。
確か…部屋に。
すっげー…。
一歩一歩、引き上げるように歩かなければならないけれども、それを苛立たしく思えもしなかった。
ただ、のろのろと歩いて登る。
階段が終わっても、廊下が長かった。
酔っているせいで、そう感じるのだ。
すっげー…何か。
ガチャリ。
重心を、前に押し出すようにしてドアを開ける。
パタン。
後ろ手にドアを放したら、意外に静かに閉まった。
しかし、部屋は真っ暗だ。
何か…。
足はベッドに向かっていた。
身体は、垂直でいることを疲れ過ぎていて、いまにも伏してしまいそうだ。
ベッドの上には。
卵があった。
暗くても、シルエットでそれだと分かる。
毛布で出来た卵。
ああ…。
カイトは、目を細めた。
ベッドにヒザをかける。
すっげー…大…な…。
一瞬で。
意識が墨の中に沈んだ。