冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
彼が、ずっと枕だと信じて疑わなかったものが、枕ではなかったのである。
ピンクのカタマリ。
いや、それはメイのカタマリだった。
彼の方を向いて、身体を横にしたまま安らかな寝息を立てている。
2人の間に、ズレ落ちた毛布が――1つのそれにくるまっていたことを証明しているかのようだった。
な…な…。
言葉もでない。
慌てて周囲を見回すと、どうみても自分の部屋の自分のベッドだった。
何一つ間違いなかった。
何で、オレがベッドに寝てんだよ!
それが一番信用できなかった。
確か、彼は昨日ソファに行ったハズである。ベッドではない。
そこから、カイトは芋づる式に記憶を甦らせた。
彼は――ソファから降りて、部屋を一度出てしまったのである。
シラフじゃいられなかったのだ。
だから、部屋を出てダイニングに行って、うざったいシュウに怒鳴って、そうして。
酒を。
そうだ。
酒を飲んだのだ。
……覚えてねぇ。
冷や汗がダラダラ流れてくる。
酒を飲み始めたことまでは、はっきり記憶があるものの、それから先がわずかも残っていなかった。
まさか、メイがカイトをソファから運んだ――などという物凄く可能性の低い推理にすがることも出来ない。
ということは。
酔って帰ってきた彼は、自分でベッドに潜り込んでしまったのだ。
メイを見る。
頬にかかった黒い髪のなだらかなウェーブ。
呼吸のために薄く開いた唇。とざされた目元の長いまつげ。投げ出された細い指先。
幸い。
彼女はパジャマを着ていた。
その事実にホッとしかけたカイトは、しかし、見てはいけないものを見てしまったのだ。
メイのパジャマの胸元は、胸の形を表すような影がさしていた。中央付近にうっすらと。
ボタンが一つ外れているのだ。
オレじゃ。
カイトは、目をそらしながら更にダラダラ汗を流す。
オレじゃ…ねーよな。
それはもう神のみぞ知る世界だ。
彼が、ずっと枕だと信じて疑わなかったものが、枕ではなかったのである。
ピンクのカタマリ。
いや、それはメイのカタマリだった。
彼の方を向いて、身体を横にしたまま安らかな寝息を立てている。
2人の間に、ズレ落ちた毛布が――1つのそれにくるまっていたことを証明しているかのようだった。
な…な…。
言葉もでない。
慌てて周囲を見回すと、どうみても自分の部屋の自分のベッドだった。
何一つ間違いなかった。
何で、オレがベッドに寝てんだよ!
それが一番信用できなかった。
確か、彼は昨日ソファに行ったハズである。ベッドではない。
そこから、カイトは芋づる式に記憶を甦らせた。
彼は――ソファから降りて、部屋を一度出てしまったのである。
シラフじゃいられなかったのだ。
だから、部屋を出てダイニングに行って、うざったいシュウに怒鳴って、そうして。
酒を。
そうだ。
酒を飲んだのだ。
……覚えてねぇ。
冷や汗がダラダラ流れてくる。
酒を飲み始めたことまでは、はっきり記憶があるものの、それから先がわずかも残っていなかった。
まさか、メイがカイトをソファから運んだ――などという物凄く可能性の低い推理にすがることも出来ない。
ということは。
酔って帰ってきた彼は、自分でベッドに潜り込んでしまったのだ。
メイを見る。
頬にかかった黒い髪のなだらかなウェーブ。
呼吸のために薄く開いた唇。とざされた目元の長いまつげ。投げ出された細い指先。
幸い。
彼女はパジャマを着ていた。
その事実にホッとしかけたカイトは、しかし、見てはいけないものを見てしまったのだ。
メイのパジャマの胸元は、胸の形を表すような影がさしていた。中央付近にうっすらと。
ボタンが一つ外れているのだ。
オレじゃ。
カイトは、目をそらしながら更にダラダラ汗を流す。
オレじゃ…ねーよな。
それはもう神のみぞ知る世界だ。