冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
怒り心頭。
イライラが冷めないまま、カイトは上着を担いで社に入った。
シュウは、いつも地下駐車場に車を置いてくるので、彼だけで社長室に向かう。
受付を通り過ぎて、エレベーターに乗る。
他の社員も同乗していたが、彼の険しい顔に、誰も挨拶一つかけられない様子だった。
この険しい顔が、昨日の取引が失敗だったんではないか、という怪しい噂を産むのだが、カイトが知るヨシもない。
社長室の階に到着し、カイトは秘書室の前を大股で通り過ぎようとした。
しかし。
「おはようございます…社長」
彼の秘書は、社長の機嫌などまったく関与しない。
カイトは返事もせずに通り過ぎようとした。
「今日は、確か開発室に入れるようにスケジュールを調整していたはずですが?」
けれども、有能で美人の秘書は、彼の姿を見過ごしてくれない。
要は、何故背広で出社したのか疑問に思っているのだ。
ハルコの推薦で後ガマとして入った彼女は、確かに仕事は出来る。
しかし、いささかカイトには、高飛車な女に見えた。
女扱いしようものなら、鼻でせせら笑われそうな感じだ。
勿論、それは偏見だったが。
そんな秘書に、スポーツインストラクターの天真爛漫過ぎる彼氏がいることをカイトは知らない。
その男のせいで、後々大事な秘書をまた失うハメになることも。
もとい。
カイトは、彼女の質問には答えなかった。
そのまま社長室の扉を閉めて、外界と遮断するのだ。
今日は誰に何を質問されても、それだけで怒鳴れそうな気がしていた。
とっとと開発室にこもりたかった。
プログラムの仕事をしている時は集中できるので、他の煩雑なことを忘れられるのだ。
しかし、彼にはその前に一つ仕事があった。
くそー。
昨日に続き、今日も彼女に電話を入れなければならないのだ。
女相手どころか、滅多に自分からケイタイをかける男ではないカイトには、非常に嬉しくない事態だった。
そう、彼の元秘書であり現在の家政婦でもある――ハルコにである。
用件は2点。
怒り心頭。
イライラが冷めないまま、カイトは上着を担いで社に入った。
シュウは、いつも地下駐車場に車を置いてくるので、彼だけで社長室に向かう。
受付を通り過ぎて、エレベーターに乗る。
他の社員も同乗していたが、彼の険しい顔に、誰も挨拶一つかけられない様子だった。
この険しい顔が、昨日の取引が失敗だったんではないか、という怪しい噂を産むのだが、カイトが知るヨシもない。
社長室の階に到着し、カイトは秘書室の前を大股で通り過ぎようとした。
しかし。
「おはようございます…社長」
彼の秘書は、社長の機嫌などまったく関与しない。
カイトは返事もせずに通り過ぎようとした。
「今日は、確か開発室に入れるようにスケジュールを調整していたはずですが?」
けれども、有能で美人の秘書は、彼の姿を見過ごしてくれない。
要は、何故背広で出社したのか疑問に思っているのだ。
ハルコの推薦で後ガマとして入った彼女は、確かに仕事は出来る。
しかし、いささかカイトには、高飛車な女に見えた。
女扱いしようものなら、鼻でせせら笑われそうな感じだ。
勿論、それは偏見だったが。
そんな秘書に、スポーツインストラクターの天真爛漫過ぎる彼氏がいることをカイトは知らない。
その男のせいで、後々大事な秘書をまた失うハメになることも。
もとい。
カイトは、彼女の質問には答えなかった。
そのまま社長室の扉を閉めて、外界と遮断するのだ。
今日は誰に何を質問されても、それだけで怒鳴れそうな気がしていた。
とっとと開発室にこもりたかった。
プログラムの仕事をしている時は集中できるので、他の煩雑なことを忘れられるのだ。
しかし、彼にはその前に一つ仕事があった。
くそー。
昨日に続き、今日も彼女に電話を入れなければならないのだ。
女相手どころか、滅多に自分からケイタイをかける男ではないカイトには、非常に嬉しくない事態だった。
そう、彼の元秘書であり現在の家政婦でもある――ハルコにである。
用件は2点。